きっかけ今から5年前。当時の私は28歳で仕事に夢中。朝昼晩と3食外食。ほぼ毎日終電で帰るような生活をしていた。 そんな時、facebookから同じIT系の会社で働くデザイナーの投稿が目に飛び込んで来た。それは、美しい器に盛られた美味しそうな料理や、毎日のお弁当の写真だった。私はそれに衝撃を受けた。同じような業種の同じような職種で、忙しい生活をおくっているであろうその人が、なんと丁寧な暮らしをしていることか!私とは正反対だった。しかも、時折現れる二人分の食卓の写真。恋人がいるのだろう。センスがいいのは器だけではなく、庭での家庭菜園の様子や、おしゃれな家具まで。二人の幸せそうな日常が想像できた。「う、うらやましい。こんな風になりたい!」私はこの時、猛烈にその人とその人の暮らしに憧れを抱いたのを覚えている。「結婚して、あんな風な暮らしがしたい!」28歳の冬。私は突然、人生の目標ができてしまった。一人暮らしをしよう28歳になるまで、私は実家暮らしだった。会社と家の往復だけで、休日も外出が多かったので、自分の部屋は中学校の時に買ってもらった家具を使い続けていて、特別おしゃれなものではなかった。憧れのあの人の生活に近づくため、まずは一人暮らしをしよう。そう決めるまで、時間はかからなかった。すぐに会社のそばの物件を探し始めた。当時私が勤めていた会社は、指定のエリアに住めば5万円の住宅補助が毎月貰えることになっていたので家賃の予算は8万円+5万円=13万円に設定した。オフィスは六本木ヒルズだったので、六本木、麻布十番、西麻布あたりで物件をさがすため不動産会社を訪れた。条件に合った部屋を全て巡ったが、ピンとくるものが一つもない。はじめての一人暮らし、妥協はしたくなかった。内見が終わり、事務所に戻った時に「生活しやすいかどうかはわかりませんが、カフェっぽいこういう物件がちょうど空いたので見てみますか?」そういわれて見せられたのが、この家だった。築45年以上のマンションをリノベーションしたという物件。当時私はリノベーションという言葉すら知らなかった。30平米のワンルーム。その1/4を占めるほどの大きなキッチンに、むき出しのダクト。レンジフードや吊り戸棚。幅広の杉板のフローリング。何から何まで、理想の部屋だと思った。この家の家賃は14万5000円と予算オーバーなことが唯一の問題点。しかし、毎月1万5000円払ってでもこんな素敵な部屋で生活ができるんだったら問題ない!そう思ってこの家で一人暮らしをスタートすることを決めた。ワクワクが止まらなかった。これは投資だ初めての一人暮らしなので、買わなければいけない家具、家電、雑貨はとにかくたくさんあった。大学生の初めての一人暮らしだったら、できるだけ安く、生きていけたら良いという感覚で色々なものを買い揃えていたと思うのだが、すでに社会人4年目。貯金も少しはあるので、こだわっていいものを揃えよう。そう思った。一人暮らしのその先に、結婚も考えていたため、「自分が100%良いと思える家を作り、そこに共感してくれる男性とだったら結婚してもうまくいくはず!これは未来への投資なんだ」そんな勢いで、当時の貯金(たぶん250万円くらい)を全額つぎ込んで理想の部屋を作った。まっさきに買い揃えたのは、数種類のスパイス。料理もほとんどやったことがないのに、今思えば、当時の私の行動は、結構ロックだなと思う。結婚したとして、その後の結婚式の費用とか、そういうことは全く考えていなかった笑 目の前のことに全力投球すれば、その後のことはなんとかなる。ここで妥協したら、その先もそれなりの人生にしかならないような、そんな気がした。(ZOZOの前澤さんもそんなことを言ってました)