「天も何を意固地になってんのか知らねーけど話くらいもっと聞いてやれよ」「だから、楽には関係ないでしょ」「は?お前の事を思って言ってんだろ」「なにそれ。迷惑」「二人ともっ!」「ちょっと貴方達いい加減落ち着きなさいよ!」「マネージャーもだよ。だったらこの人達が帰るのが早い。解った?もう話は終わり、帰って」「……だから、」「…?何」「…陸の最後のお願いだから!!」「……は、?」まるで言いたくなかった様に顔を悲しみで歪ませた母親の言葉に、天は苛立っていた思考がスー、っと冷えるのを感じた。今、この人は何て言った?天が呆然としている間に両親は最後まで言いたくなかったであろう言葉を吐き出した。 その声は、震えていた。「陸、もう外に行けないの。外で走ったり…歩く事も儘ならないって、今車イスの練習してるのよ」「……車、イス」「喘息が悪化していて、気管支も発作のせいで狭まってきているって……だからっ」ーーー今年のお祭りには行かせたい母親は耐えきれなかったのかそのまま涙を流した。 父親は天に近寄り一枚の紙切れを渡した。 それは特集をされた時の写真だった。「陸ったら病院の雑誌からこれ切り取る為に色んな人に確認しに回ったんだ。テレビもいつも天が出る番組ばっかり……」「……」「だから、最後に会ってやってほしい」両親の思わぬ言葉に天は父親の顔を見上げた。 懐かしいその顔はやはり、涙で腫れていた。「…陸は、今」「発作起こして薬で眠ってる。寝言でずっと天にぃって呼んでる。全く…ブラコン過ぎて父さん少し悲しいよ」天の頭を懐かしい手が優しく撫でる。 何故だが胸にぽっかり穴が空いたみたいに、ひんやりと冷たかった。