別れなんて一生来なければいいのにこの瞬間が来なければよかったのにそれでも君が望むなら「‥‥‥……………………………わかった。」陸の身体を支えていない方の天の手は爪の色が真っ白になるくらい拳を強く握っている。悔しさも悲しさも全てが混ざりあって どうしようもなく心が引き裂かれそうになっていた。 白い紙のように無残にボロボロに破られたかようだった。ぐっ……と無意識に爪が皮膚を傷つけて血が滲むぐらい握った自分の拳に気づいた陸は 両手で僕の手を取って自分の指を絡めた。恋人同士が手を繋ぐ時のように「り…く」そうすれば、僕が自分の手を傷つけることは無いだろうと思ったのだろう。もし我慢したとしても強く握れば陸の手に痕が残ってしまうから。「生まれ変わったら俺、何になると思う?」「………え?」これはちょっとした陸の小さな作戦だった。「俺的にはまた人間がいいけど…もし次に生まれ変わった時人じゃなかったらどうしよう。猫とかだったら喋れないじゃん!あ、でも植物とか虫だったらもっと不便だ。」大きくなったら何になりたい?と夢を語る時と同じ感覚でその先の未来の話を陸は語った。冗談交じり笑う陸は「これが最後じゃない。」 そう言っている気がして一方的に繋いでいた陸の手に寄り添うように天も指を絡め握る。「何に生まれ変わっても必ず見つけるよ。」ほんと?と嬉しそうな顔をする弟 「当たり前でしょう。」そう言って僕は陸の額に自分の額をくっつける。「何度でも…なんどだって……また君を探す。……約束する」天がそう言うと陸は嬉しそうに、幸せそうに ぽろぽろと涙を零しながら口を緩めて微笑んだ。「うんっ、待ってる…。」