2015年12月01日「新しい時代へ向けて外食企業は何を発信すべきか」竹谷稔宏
2015年12月01日「新しい時代へ向けて外食企業は何を発信すべきか」竹谷稔宏
近年の景気後退や外食支出の減少、少子化高齢化の問題は、外食業界にとって厳しい時代を迎えていることは周知の通りであろう。だからと言って、企業として何もせずに手をこまねいているという訳にはいかないものであり、常に企業が継続していくための戦術や戦略を十分に検討しておかなければならない。
しかしこれまでのようにただ単に単発的な小手先の戦術(料理の価格を下げるとか、期間限定の値引き合戦) に陥らないように、企業の経営陣は、現実と将来を見据えた戦略を計画することが大切であることを忘れてはならない。
なぜならば、TVコマーシャルに流れる外食業の告知は相変わらず、期間限定のメニュープロモーションが多く、その告知方法や戦術に魅力を感じるものはないように思えてならない。これでは何も変わらないだろうし、いわば、小手先の数字合わせにしか過ぎないだろう。
これからもっと大切になることは、飲食店の足を運ぶ生活者のライフスタイルや志向など情報を深く研究し、もう一度飲食店のあり方を検討するべきであり、これまでのように同様なメニュー企画や定型サービレベルに終始することは外食企業として生き残っていけない時代を迎えていることを肝に銘じておかなければならない。
近年の外食動向としては、欧米の外食ブランドの日本進出が目立っているものの、その飲食店には生き残っていける業態とあくまでも流行りという後押しで成功しているように見えている飲食店は数多くあることを理解しておかなければならない。
なにも他社の戦略や戦術に動揺する必要もないだろうし、外食業は一過性のものではなく、一時的な繁盛や話題性はいつしか陳腐化してしまうものである。
いわば、飲食店とはあくまでも継続経営してこそ、真に飲食店の成功であり、ただ単に勢いだけの一過性の流行りだけでは生きの長い経営はできないことを認識しておくことである。
最近ではよほど話題性がない限り、新規開店の店に長蛇の列を成すことは、少なくなりつつあり、生活者にとって興味や好奇心を煽るものでなければ、なかなか昔のように開店御礼の一時的開店景気という繁盛すらなくなってきていることを理解しておかなければならない。
つまり外食業としては、生活者に何を発信していくべきかという原点回帰することであろうし、ただ単にメニューの低価格化や一時的な集客戦術ではその魅力は長続きしないことを自覚しておくことである。
飲食店とは、「誰のためにあるのか」、「生活者にとっての魅力や好奇心、ライフスタイル」に適合した業態へと改革することこそ、外食企業が発信すべきことであると理解しなければならない。決して目先のことだけに捕らわれず、将来を見据えた戦略を持つことが外食企業に大切であることを忘れてはならない。