「眠っている今・・・少し傍に居ても良いですか?」 「暫くは薬が効いているから大丈夫だよ?あまり君も無理はしないように」ポンっと主治医の先生に肩を叩かれ、入院の手続きをする為に二階堂大和と一緒に去って行く後ろ姿を見、心配だからと、もし陸が目を覚ました時に再び暴れても大丈夫な様にと和泉三月も一緒に病室へと入る。 真っ白なベッドで眠り陸の腕には点滴の針。ポタポタと一定のリズムで落ちる点滴。陸の体の中へと吸い込まれて行く。 そっと点滴の邪魔にならないように陸の手を握り締める。額に陸の手を当てて祈る様な形を取る。「陸・・・・」(この声が、歌が・・・君の『心』に届きますように――)――スっと大きく息を吸いこんだ・・・(声が聞こえる・・・・)ふわふわと柔らかい・・・それは母親の胎内に居た頃の様な温もりだった。 母親の胎内の事何て覚えているはずもないのに・・・それでもとても暖かくて凄い眠気を招いて来る。 ずっとここで寝てて良いよと・・・そうやって自分を包み込んでくれている温もりに全てを預けてしまおうと再び目を閉じる。 微かに聞こえる声は・・・何処か懐かしい子守唄の様で、何故だが凄く泣きたくなるそんな歌だった。