何をどうして良いかなど、三月にはやはり今でも解らない。 けれど、天が今の陸に手を差し伸べなければ、陸はこのまま倒れてしまうだろう。 それだけはどうしても、避けたかった。 アイドル仲間としてではなく。 陸と心を通わせた、友として。「……ボクが関わっても、何も変わらないかもしれないよ?もしかしたら、悪化するかもしれない」 「その可能性は、俺も否定しない。でも他に、術が無い。もし悪化したら、俺たちが全力で支える。陸も、お前も。だから…」 ありったけの願いを込めて、三月は天に言い募る。 その言葉に、天の息を飲む音が、スマホ越しに聞こえて。 そして、深い溜息が、三月の耳に届いた。「……わかった。でも、言っておくけど、どうなってもキミたちは責任感じないでね?」 「え」 「ボクが、ボクの意思で行動する結果なんだから」 「ああ…」 天は、覚悟を決めたようだった。 陸と向き合う、覚悟を。 但し、自分たちに負担が行かないようにと、気を配る言葉を忘れずに。 何があっても、己は大丈夫だと、強い気持ちを持って。 それは、痛々しいくらいに重い決意。 しかしそれに縋るしか、現状は変わりそうにない。 陸の心を、揺らせそうには、無い。 それは三月にとって、そして他のメンバーにとっても、辛いことだった。「…でもな。俺は、九条は陸を救えると、思ってる。だから、あんまり悲観的になるなよ?」 「本当にキミは、諭すのが上手だね。…でも、ありがとう…」