ボクの元に、1通の手紙が届けられた、それから数日後のある日。「初めまして、本日は、よろしくお願いいたします!」 歌番組の収録を控えたTRIGGERの楽屋にやってきたのは、小鳥遊事務所からデビューした新人アイドルグループだった。 二階堂大和、四葉環、逢坂壮五、六弥ナギの4人によるアイドルユニット。 (ああ、そうか。この子たちが本当は……陸と一緒に歌うはずだった子たちか) そう合点して、挨拶を返した。 4人が楽屋を出て行って、楽と龍とボクの3人になったとき、自分でも無意識に、ボクはその話を漏らしていた。 「あの子達、本当は7人だったんだって」 「は?」と楽は眉根を寄せて、「へえ」と龍は、大して興味もなさそうに微笑む。 「なんでお前がそんなこと知ってんだよ。……小鳥遊事務所に知り合いでもいるのか?」 不機嫌そうな楽の声に少しだけ、興味の色が混じる。そういうところが、社長の息子なのだ、と思うけれど口には出さずに、ボクはあの少年の話を始めた。 「未来を知っているっていう、不思議な少年がいたんだよ、今から2年くらい前かな……ボクたちがデビューする直前に、事務所を訪ねてきたんだ」 「はあ? なんだそれ、不審者か、映画の見すぎだな」 「まあまあ楽、最後まで話を聞こうよ、それで、続きは? その子はもう、未来に帰ったの?」 「……死んだよ、つい、3日前かな」 楽屋の空気が、しんと静まり返った。 「遺書が来たんだ、ボクのところに。遺書っていうよりは、熱烈なラブレターみたいな内容だったけどね」