陸にとって天と両親以外の人はよく分からない怖い人、という認識があった。 今でこそ怖くない人は天と両親以外にも増えたが、それでも世間的には少ないと言える部類だ。陸にとって天が世界の中心であるので、天が認めない人の認識は永遠に怖い人、になる。「あんたなんていなければよかったのに。」いつから言われ始めたのかも忘れてしまうほどに陸はこの言葉を何度も言われてきた。怒り狂って叫ぶように言う人もいれば、ワッと泣き出して恨みごとのように言われたこともある。だけど、共通して言えることはどれも陸には身に覚えのないことばかりだった。全く知らない人や仲良くしてくれてた友達と思っていた人など様々。みんなみんな陸を怒って責めるのだ。当然、陸は恐ろしくなった。そのことを天に相談すれば、少し何かを考えてからすぐに優しい笑みを浮かべてもう大丈夫と言ってくれるのだ。天が大丈夫と言ってくれるだけで陸は何も心配する必要がなくなったと安心する。事実、陸を怒ったり責めたりすることがパタリと無くなったのだ。やっぱり天は陸にとってのヒーローなのだ。 しかし、天と晴れて思いが通じあってからは再び陸は理不尽な怒りをぶつけられることが多くなったのだ。 それは高校生になってから更にエスカレートしていった。