日色の正論に振り上げた拳の落としどころを見失っている感じで唸っているリリィン。
「ええい! この変態っ! 女に興味が無さそうな振りをしてそういうイベントはちゃっかりか貴様は!」
何を急に言い出したのか分からず日色は半目をしつつ、指を差しながら叫んでいるリリィンを見つめていた。
すると「おほん!」と咳ばらいが聞こえ、ここからは自分が主導権を握ると言わんばかりに皆の視線を誘導するマリオネ。
「とりあえず小僧、幾らお前が我々の恩人だとしても女人の、しかもこの国の王の湯浴みを覗いた形になったことは間違いない。陛下はあれから部屋に籠って出てこん。何とかしてくるのだ」
マリオネの話によると、風呂から出たイヴェアムは一目散に自室へと駆け込んだそうだ。そしてベッドに潜り込むと、うわ言のように「ヒイロに見られたヒイロに見られた」と繰り返しているそうだ。