1.日茉凛と肋「ちょっと!誰かいるんでしょ!?」 牢獄のような石造りの狭い部屋に、高い声が反響する。 彼女の名は日茉凛(ひまり)。彼女は目を覚ますと見知らぬ場所でT字にキツく拘束されており、身動きが取れない状態だった。あまり記憶にはないが、自分が魔法少女に変身した姿のままであることから、敵と戦っている間に気絶させられ、連れ去られたのであろうと予測できた。 日茉凛は改めて自分の状況を見返す。 手首、肘、骨盤、膝、足首にそれぞれベルトで壁に縫い付けられており、頭と上半身を多少左右に捩ることしかできない。どれだけ力を込めても、拘束しているベルトはギシギシと音を立てるだけで緩むことはなかった。 どうしたものか、と少し苛立ちを感じ始めた頃、扉が開かれ、白衣を着た女性が現れた。部屋に入ると、女性は日茉凛を舐め回すように見つめ、満足そうに微笑む。「ふふ、良いザマね、魔法少女さん?」「…あんた、組織の人間ね。あたしを捕まえてどうしようっていうの?」 日茉凛は臆することなく女性に食ってかかる。そんな日茉凛を見て、女性は可笑しそうに表情を歪めた。「拘束された状態でよくそんなに強がれるわね。言っておくけど、この部屋は特別製で魔法は使えないわよ?」 女性の言う通り、日茉凛は魔法を使えなかった。だからと言って弱気にならず、女性を睨みつける。女性は「ああ怖い」とわざとらしく呟いた。「せっかく捕まえたんだから、魔法少女の情報がほしいわ。教えてくれないかしら?」「誰が教えるかっての、オバサン」「……ふーん、生意気な口ね」 女性はピクリと眉を吊り上げ、ツンとした表情の日茉凛を軽く睨む。「もう、そんなツンツンしないでちょうだい。ほら、笑顔笑顔♡」「ひゃひっ!?」 女性は日茉凛のガラ空きになった腋の下をツンツンと突き、日茉凛は不意打ちの感覚に思わず拘束具をギシッと鳴らす。「あらあら~?震えちゃって、どうしたのかしら?」「くふっ…!ちょっと、やめなさいよ!」「やめないわよ~?身動きできない状態でくすぐられるのはどうかしら~?ツンツン、ツンツン」「んくうぅっ…!」 女性の指が、日茉凛の腋の下から脇腹にかけてツンツンと突く。軽くこしょこしょとくすぐられる度に、日茉凛はビクリと体を跳ねさせた。