「お疲れ様でした。先に失礼します。」 「お疲れ、天。陸ちゃんによろしくね。」 「ちゃんと奉仕しろよ。大事な家族なんだから。」 「楽に言われる筋合いはないよ。」 「なんだとお!」 「まあまあ二人とも…」 「明日もお願いします。」 都会に粉雪が降り始め、人々が防寒にいそしむ今日この頃、人気アイドルTRIGGERも仕事を終え帰宅の途についていた。人気者であり、かつその美貌と長身のためか街を歩けば囲まれグチャグチャにされる経験を多く持つ楽と龍之介のため、3人は専用車で自宅まで送ってもらっている。今回の収録現場からまず一番近かった天のマンションにつき、冒頭のような会話を済ませた後、天は颯爽と車を降り、ロビーへ入っていった。その背中が、心なしか嬉しそうにしているのを知っているのは楽と龍之介だけであった。