天が動くより先にナギは眠っている陸の心臓を貫いた。 一瞬の出来事で誰も声を発する事ができなかった。 心電図の音は次第に壊れたかのように一定の音しか出さなくなっていた。そして「アナタもですよ」 ナギは陸を貫いたナイフを素早く抜き、陸に駆け寄ろうとする天の心臓に突き立てた。 皆が伸ばした手は空を掻くことしかできなかった。「...えっ...?」 誰より状況を理解出来ていないのは最後の最後まで天だった。 自分の体を触ればそれは赤に染まっていた。「...二人で安らかに眠ってくださいね」 ナギは静かに刺さったナイフを抜いた。赤い液体が音もなく零れていく。 陸の眠っている白かった筈の布は赤く染まっていく。 あぁ、一緒だ。最後の最後まで一緒だ。「りくっ...やっぱりボク達はずっと一緒だよ......1人なんて無理だったんだ...破片にしかなれなかった...これでボク達はずっと1つだね......」 そっと陸の手を握る。 温もりが消えていくその手が今は酷く心地いい。「いっしょに...ね...」 その場に倒れ込む。目の前は既に暗闇に包まれていた。