「くらえっ、最後の――ぎゃあああああああ!?」 その塵を浴びたエドガーが、悲鳴を上げて矢から指を離し、悲鳴を上げて地面に転がった。「っ!? がっ!? あ゛ああああっ! なんで、毒や病気なら、【状態異常耐性】が……!」「うぐぅぅぅっ! 違うっ、何かがっ、何かが私達の鎧の内側に入り込んで……!」 そのエドガーを追うように、ハインツとデライザも苦しみ始める。 その様子を眺めながら、ヴァンダルーは美味に舌鼓を打っていた。 ハインツ達を襲っているのは、ヴァンダルー自身の血を変化させた貪欲な肉食性微生物だった。 【病魔】ジョブの効果で自分の身体の一部を病原菌やウィルスに変化させる事が可能になったヴァンダルーは、それを害虫駆除に活用する以外にも、【状態異常耐性】や【状態異常無効】スキルを持つ敵との戦いを想定していた。 その結果開発したのが、自身の血を肉食性の微生物に変化させる事ができる【貪血】の冥王魔術だった。この魔術の前には、【状態異常耐性】スキルも対病毒用マジックアイテムも意味を成さない。 何故なら、彼らは極小の微生物に姿を変えた無数のヴァンダルーに貪り喰われているだけなのだ。状態異常では無く、単なる物理攻撃である。ただ、攻撃している微生物は肉眼で見えず手で払っても意味が無い程小さいが。