「白鷺さん。あなたが好きです」 白鷺さんの目に溜まった涙が頬を伝い、零れ落ちた。その涙はとても美しかった。口がみるみるへの字に変わり、自身の掌で顔を覆った。 白鷺さんは私の知らない世界をたくさん知っていて、いつも自信たっぷりで。こんなに小さな肩を震わせる白鷺さんは見たことなんてなかった。こんな時どうすればいいか正解なんて分からない。伸ばしたり引っ込めたりを繰り返した手を小さくなっている背中にそっと添えた。どれくらい背中をさすっていたのだろう。肩の震えは小さくなり、すんっと鼻をすすった白鷺さんは覆っていた掌を下ろした。「……先に言われちゃったわね」言い終わるのと同時に彼女の腕が背中に回された。ふわりと香る懐かしい匂いが脳に彼女との思い出を呼び起こす。金色の美しい髪を撫でながら、暖かな温もりを優しく抱きしめた。「紗夜ちゃん。私もあなたのことが好き」