「一応、TRIGGERの事務所から警告は出されてんだな。取材とかつきまといはすんなって」 「はい…。でも、どの辺に住んでるかはバレちゃってるから、外に出づらくなって…」 「ったく…一般人巻き込んでまで記事にするとか…流石マスゴミと言われるだけあるわ」 大和さんが強い嫌悪感を露わにする。目つきも声も冷酷になって、長い付き合いの私でもちょっと怖かった。 「お袋さんから頼まれた時はビビったぜ。急に陸をウチで預かってくれないかって言うからさ」 「びっくりさせてごめんなさい。母さん心配性だから、もしもの事がある前に避難させておきたいって言い出して」 母さんには、三月の助言を受けて、記者の人達との出来事を諸々打ち明けた(怪我をさせた事とカメラを壊した事は言い出せなかった)。父さんも一緒に聞いていたのだが、母さん以上に動揺している様子だった。 今後どうするかを話し合った結果、復学するまえでの間、記者達がうろついている生活圏からは離れようという話になった。 「でも、確かに大和さんなら、昔からよく知ってる人だし、ウチの家庭事情も把握してるから、何かと安心だねって」 「あはは…信頼されてると思って喜ぶべきか、男扱いされてないと感じて悲しむべきか…」 「へ?」 「いやいや、こっちの話」 手をひらひらさせて、何でもないと主張する。 「リクの実家からはそこそこ離れてるから、少しはこれで安心だろ。自分家だと思って…ってのはムズいかもしんないけど、リラックスして過ごしてくれ」 「はい!ありがとうございます!」 「じゃあ、陸の部屋に移動すっか」 「え?」