そう書き終えるとペンを置いて背伸びをした。 この手紙の送り主はもちろん天にぃだ。 自分が死んだとき、天にぃに渡される手はずになっている。 本当はビデオレターも考えたがそれだとずっと手元に残ってしまうので、 簡単に捨てることができる紙にしたのだ。 けど、天にぃの性格を考えるとこの手紙を捨てることはきっとないだろうけど。七瀬陸は自分が生きることに何の未練もなかった。 だけど、一つだけ気がかりなことがあった。 それは自分の双子の兄のこと。 きっと自分が死んだあと、天は自分のことをたくさん責めるだろう。 だけど、陸に言わせれば天がなぜ自分自身のことを責めるのか分からないのだ。 だって、本当に俺は幸せだったから。 18年間しか生きられなかったけど、それでもたくさんの幸せを陸は天からもらった。 だから、もう満足なのだ。そんな事を思っているとドアがコンコンとなった。 きっと天にぃだ。 急いで手紙を書くし、ドアに向かう。空に浮かぶ光り輝く月だけが二人を眺めていた――――――――。