視界が、塞がれる。 暗闇が広がっていく。 何も見えない。 何も聞こえない。 代わりに、走馬灯のように天の言葉が、一織の言葉が、交互に頭に響いてくる。 聞きたくなくて耳を塞いでも、声は止まらない。(やっぱり俺は、誰にも必要とされないの?)嫌だ。嫌だ。嫌だ!!!「そんなの・・・、やだよ・・・」掠れた声で、絞るように声を出しながらドアに手を伸ばす。 でも、それ以上が伸ばせない。 怖い。拒否されることが怖い。 一織の口から、貴方はいらないと言われる事が怖い。 でも、そうしているうちに、やっぱり…と思う気持ちが強くなってきた。 ああ、ほら。 やっぱり、消えるべきだったのだ。(そうだ・・・。どうして俺はあの時に消えてしまえなかったのだろう)願ったのに・・・ 開くことのないドアの前で、必死に願ったのに・・・ そうだ。 必要ないんだ。 自分は誰にも・・・ 誰にも!!!!「あ・・・あ・・・ああああ!!!!」――ソウ、誰モ――― ――誰モ俺ナンカ、要ラナインダ――「なんだ?」 「七瀬さん?!目を覚ましたんですか?!」陸の眠っているはずの室内から音が聞こえ、大和と一織の二人は慌ててドアを開けた。 すると、そこにはさっきまで病院着を着ていたはずの陸がなぜか私腹を着替えて床に蹲っている姿を発見する。「七瀬さん!!何してるんですか!!」一織がすぐに陸に駆け寄る、が、パンッ!!!という乾いた音とともに、一織の伸ばした手が弾かれた。 陸が、一織の手を払ったのだ。「七瀬・・・さん?」ぜぇぜぇと乱れた呼吸をして、陸が一織を睨み付ける。 裏切者・・・ そう言われているような気がするのは、どうしてだろうか・・・「げほっ!!」 「まずい!!発作を起こしかけてる。イチ、すぐに主治医を呼んで来い」大和が急いで指示を出すが、「ななせ・・・さん・・・」一織は呆然としたまま、陸を見つめた。 どうして?どうして自分が拒否されたのか分からない。 今までも、確かにたくさんぶつかってきた。 喧嘩だって何度もした。けれど、陸は一度も、一織を拒否したことは無かった・・・(いったい、彼の中で何が起きているんだ・・・)嫌な予感しかしなかった。 いや、元々ここに運び込まれる前から、そんな予感ばかりがしていた。 七瀬陸が、壊れる・・・(だから・・・だから言ったんですよ、九条さん!!)「イチ!!!」 「はっ!!!」