「–––––ば…!馬鹿野郎!!何でそんなになるまで黙ってた⁉︎」ナギと千も途中で来て、アイナナ寮に大集合の中、事のあらましを一通り話し終えると、そんな楽の怒鳴り声が寮中に響き渡った。 思いっきり関係者だったのに何も知らなかったとか嘘だろ、と頭を抱え嘆くように零す。「…だって、こんなこと言えねぇよ…あんたら滅茶苦茶気にするだろ…。」 「ッ…だからって…!」 「止めて!止めてください…!皆は悪くない、俺が頼んだんです…!言わないでって…。」三月が表情を歪めて俯きがちに口にし、楽がそんな三月に詰め寄る。そんな2人を見て陸が悲痛な面持ちのまま口を挟んだ。「陸くん…。」 「…楽、落ち着いて。彼等は何も悪くない。僕等のことを思って何も言うことが出来なかったんだ。感謝こそすれ、文句を口にするなんて御門違いだ。」龍之介に続いて、天が陸の背の包帯を巻き直しながら静かに口にする。「…そんなことわかってる…わかってるんだよ…。」楽が何かに耐えるように歯を食いしばって、先刻よりも抑えられた声量で言った。 急にこんなことを聞かされて動揺しない筈なんてないだろう。「……こうなるから、言いたくなかったのに…。知らなければ……」俯いた陸がボソリと呟く。 続く言葉が何だったのかはわからないが、気持ちは痛い程にわかる。 包帯の巻き直しを終えた天は力無く笑った。「…知らなければ、幸せだった…?…その代償に陸が傷付くくらいなら…そんな幸せはいらない。」そう言って天は、陸の背に自身の額を軽く押し当てる。 その様子から見ても、天はどうやら相当参っているようだった。 あんな映像を見せられて、平気でいられる筈なんて無いのは最初からわかっていた。だからこそ、陸は隠し、大和達も口にしなかった。 藍沢直哉と天が話す前に間に合っていれば、なんて今更後悔しても遅い。それに、勘づき始めていたTRIGGERにずっと隠し続けることなんてきっと出来なかった。 わかっているけれど、他に道はあったのではないかと考えてしまうのは目の前のTRIGGERを見ていると止められない。「…これからの話、なんだけど…誰か、温泉旅行ロケの話聞いた?」 「……何ですか、それ…。」