その日のうちに、陸は寮へと戻った。残りの人生を、楽しく過ごすために。 帰ってきてからすこし寝てしまったが、目が覚めたらそこに一織と三月がいた。もちろん一織は泣いてたし、三月も半分泣いてた。泣き虫兄弟。そんなふたりを、陸も泣きながらごめん、と言った。ふたりはなんて言ってたかな?次の日、とんでもない知らせが舞い込んできた。それも、ビデオにのこしておこう。「なんと、オレの復帰ライブをやることになりました!……しかも、TRIGGERとRe:valeも一緒なんだって。こんな幸せなことってあるかな」すこし目を伏せて、陸は続けた。「……これが、さいごになるかもしれない。悔いを残さないように、頑張ります。……頑張れよ、オレの身体」ぱちん、と頬を叩いた。「それじゃ、また。……なんかそろそろ、このビデオの存在、バレちゃいそうだな」ガタガタ、とビデオが置かれる。「よいしょ……。今日は、みんなでお泊まりしてます。明日、ライブなんだ」小さな声で陸は言った。「いま、大人組が宴会してる。聞こえるかな」龍之介の大きな声、壮五を咎める環の声、笑い声、たくさんの声が聞こえた。「緊張するなー。……あんまり、ステージから離れてないはずなんだけど」体育座りのかっこうのまま陸は続けた。「みんながね、RESTART POiNTERを一曲目にしたいって言ってくれたんだ。オレがセンターに戻った曲だから、ステージに戻る曲にふさわしい、って」んー、緊張するなあ。けれども、陸は笑って言った。「けど、せっかくみんなが言ってくれたから。悔いのないように、頑張りまーす。……なんか誰か来そう。それじゃ、また」慌てて陸は電源を落とした。