「お、おかしいのよ!気持ちが悪いわ!兄妹で恋人の真似事!?滑稽ね!」 「それであなたは満足です?ボクらを貶して、辱めて、そうしたらボクたちが離れるとでも?ハッ、楽しい思考回路ですね。残念すぎて言葉もありません。そんな小さい子供のような癇癪を起こせばボクがあなたのことを見る、なんて思わないで下さい。」そんな価値すらない、と凍てつくような視線と共に告げられた言葉は女性を拒絶した証で。わなわなと唇を震わせて何か言い返そうとするが言葉にならず、逃げるようにしてその場を後にした女性に天は何事もなかったかのように陸に向き直ってそのまろい頬を撫でる。「邪魔が入ったから帰ろうか。」 「うん!」 「さて・・・」天はどうするか悩んでいた。見られてしまった以上はあの女性を野放しにはできない。別になんと言われようと構わないのだが、それを誰かに言われて物理的に陸と離されることが一番恐ろしい。早急に手を打たなければ・・・と頭の片隅に置いておきながら陸には気づかれないように計画する。 全ては陸のため。 そして、天のためなのだ。幸せになるための“資格”は必要ない。 幸せなんて作ればいいのだから。