大和がうしろから声を掛けてきた。そう、悲しいという気持ちだ。大和だって天とはそんなに親しい間柄ではない。けれど楽から天について聞かされたとき、柄にもなく動揺した。「ヤマト。ここなのイベントに外れたときと、この気持ちは、同じですか?」 「……俺やミツからしたら違う気持ちだが、どちらも胸を締めつける痛みなら、同じじゃないか」例えがナギらしくて悲しみに浸りそうだった気持ちがふと軽くなった。「……悲しんでばかりいられないぞ。これからだろう」そう、これから。このステージが終わってからが本番だ。どれだけ天をこちらに引き止めておけるか。残り、あと一曲。 ぜいぜいと肩で息をする天に、楽も龍之介も献身的にサポートした。もう体力は限界だ。「……あと一曲だ。いけるか、天」 「……もち、ろん。……だれに言ってるの、がく」 「天、無理しないで。酸素吸って」