ずしりとした重みを感じた天は、ふと目を覚ました。電気はつけっぱなしで煌々と室内を照らしている。自分が寝てしまうと必ずだれかが明かりを消してくれるのに。 枕元にあるはずの電気のリモコンを探すと、やわらかな感触が指を包んだ。そして、ぎょっとした。 そこにいたのは楽で、急いでいちばん重みを感じる腹のあたりを見やれば龍之介らしき大きな身体が天の腹を枕替わりにして眠っている。(……この人たち、身体痛くないのかな)どちらも天よりかなり身体が大きい。それ故、こんなところで縮こまって朝を迎えてしまえば翌日の身体にダメージが残るかもしれない。天と違って、仕事があるだろうに。(……ボクと、違って)自分で考えておきながら、気分が沈んでいくのがわかった。 そう、もうボクとは違う。三人のTRIGGERは永遠に心の中でしか存在しない。 二十とすこししか生きられないなんて幼少期、……いやTRIGGERを結成した当初はまったく思っていなかった。この三人でどこまでもやっていくつもりだったし、やれるとも思っていたのに。 それが一変したのは陸が亡くなってからだ。こうなるかもしれない、とちらりと頭で考えるようになったのは。双子が一心同体だなんてお伽噺でしかないと思っていたけれどもしかしたら。天を追いかけてステージに上がった陸のように、陸を追いかけてステージを降りる天だっているかもしれない。 そして、それが現実となったのは三年が経ったいまだった。病院に担ぎ込まれて凛とした声の医師と対峙したときに確信してしまった。ボクも、ステージを降りなくてはならないことを。 改めて、楽のやわらかな髪の毛と龍之介のがっしりした身体に触れてみる。不安に、させてごめんなさい。 つらく怖い思いを、させてごめんなさい。涙が出た。