目が覚めると白い天井がみえた。 どうやらここがどこかの病院らしいと把握する。途端に自分が倒れる原因となった情報が次々と頭の中に流れ込んできた。両親が事故に遭って死んだこと。 陸があともう少しで死んでしまうこと。たったこれだけの情報なのに僕の胸の中はいっぱいいっぱいになって。 悲しくて、辛くて、情けなくて・・・もう、母さんのオムライスが食べられない。 もう、父さんと一緒に遊ぶことができない。 また、家族全員で水族館に行くことができない。九条になった僕にはそんなこともう二度とできやしないしやるつもりもなかったけど。 実際にもう二度と永久にできないって分かると。あの日捨てたはずの七瀬天としての感情が蘇ってきて。こんなことになるなら一度だけでも会いに行くべきだったと。 心の底から後悔して、懺悔して。こんな息子で本当にごめんなさい。 会いに行けなくて、今まで最愛の弟が苦しんでいたのに。のうのうと僕は毎日を生きていて。 ごめんなさい、ほんとにごめんなさい。そうやって僕は真っ白い箱の中で一晩中泣き続けた―――――――――――