きゅっきゅと廊下を歩く音が響く。それはとある場所へと一直線に歩く。 ドキドキと動悸が止まらない。ぎゅっと握った手のひらに汗を掻いている。 大丈夫、もう怖くない・・・って言ったら嘘になるけど大丈夫、自分を信じて、皆を信じて。 あの角を曲がったら目指す先はすぐ目の前だ。歩くスピードが遅くなる。足が震え始め、思う様に進んでくれない。 やっぱり引き返そうかと心の中が迷い始める。だけど、今ここで引き返したらきっと二度とこの場所に戻って来られない。 大きく息を吸って、吐いて、吸って吐いてを繰り返し、ゆっくりと目を瞑る。『信じてる・・・』天にぃのあの言葉をオレも信じてる。よし!!!見据えた瞳にはもう迷いなどなかった。 角を曲がり、目の前にスタジオの重たくて怖い扉が飛び込んで来た。 ヒュっと喉が鳴る・・・ドクドクドクっと心臓が嫌な刻みを始める。冷や汗が止まらない。 大丈夫だと思っていても心の傷は深かった。そう簡単に治るものではなかった。 扉の前、中からは音が聞こえて来る。そっと扉の窓から覗けば、全員が踊っている。 あぁ、やっぱり格好良いな・・・早くみんなと一緒に歌いたい、踊りたい。 そっと扉に手を掛ければ、ひんやりと冷たい扉の感触に思わず手を引っ込めてしまった。 もしかしたら、もしかしたらこの扉に鍵が掛かっているのではないか・・・ きっと自分の帰りを誰も待っていないのではないか・・・ ぐるぐるとそんな思いが頭を巡る。はぁはぁはぁ・・・肩が震え、呼吸が浅くなる・・・怖い、怖い・・・怖い・・・もしかしたら天にぃがあの扉の向こう側で睨んでいるかも知れない。「怖い・・・どうしよう」