「……よいしょ、」寝転がって、鼻に酸素カヌラを入れた陸はゆっくりとビデオの電源を入れた。「……ライブが終わって、……十日くらいかな?……無事に、終わりましたよー」肩で息をしながら陸は言った。「……なんか、また肺に腫瘍が出来ちゃったみたいで。すごく、息がしにくい」遠くを見ながら続けた。「もしかしたら、明日は、目が覚めないかもしれない。……そう考えながら生きるのは、つらい」 ぐっ、と息が詰まる音がする。「けどね、天にぃ、これを観ても、絶対にあのときのこと、後悔しないでね。……天にぃがオレにあと半年だって言ってくれなきゃ、ライブはやれなかったんだから」ほんのすこし、陸は笑った。「……ありがとう、天にぃ」