「お!あったぞ、ケチャップ! って、高い所にあんな〜!こりゃ見つかんないわな。」「ほんとだ!おにいちゃんすごい!」「オレ、届くかなぁ……。お、丁度いいところに台が……。 これ使うのは癪だか…よし。陸のため、九条のためだ。」和泉三月がなんだかブツブツと言いながら、台に乗ってケチャップを1つ取り、陸に渡す。「ありがとう…!!」「おー、どういたしまして!他にも何か探してるのか?」「あとはお菓子だけだから、だいじょぶ!ありがとー!」和泉三月に手を振りながら、お菓子コーナーへと向かう陸。 和泉三月はというと、こんなに元気で素直そうな子供が九条の弟かよ……というような顔をしている。うん、ボクもそう思うよ。陸の後を追いかけると…やっぱり、あのお菓子。 元々食べられるお菓子も限られていて、その上量も食べれない陸でも、いつもすぐに食べきってしまうお菓子である。いつもの言いつけを守っている範囲のお菓子を選んでくれて安心する反面、大分子供としての欲が無くなって来ているのだな、と寂しく感じた。 あの子はいつも、人一倍我慢をしているから。ボクがうだうだ考えている間も陸は、ずっとお菓子コーナーから離れようとしなかった。そんな陸は、ずっと新商品のチョコレート菓子をじっと見つめていた。最近ずっとCMで流れているものだ。ボクも密かに気になっていたが、買いに行く時間の余裕は無かった。陸は、じっと見ていたかと思うと、その数種類ある内の1つを手に取り、カゴに入れた。