「ああ! セキ様! 良かった! セキ様を探していたのです!」 その人はそう声をあげて、セキさんにすがりついた。「君は、カクカク村の者か? カクカク村には、リュウキがいたはず。なぜ一人でこのようなところに……? 私を探していたというのは……」「はい! じつは、リュウキ様やその騎士様方が、大きな怪我をしてしまい……今はほとんど動けない状態で」「リュウキが……!? 何故だ、油断でもしたのか?」「いいえ、油断、ではありません。予想外の魔物が……魔法が効かない魔物と……遭遇しました」 言葉に詰まった。 だって、魔法が効かない、魔物ってなると……。 私達の間に沈黙が訪れて、そしてしばらくしてセキさんが声を上げた。「ああ、下りてくる魔物の多さを見て、そんなことが起こるかもしれないとは思っていたが……」 そう苦々しくつぶやいたセキさんの顔色が、みるみる悪くなる。