もしかして、と思ったが、恐らくもしかしてではなく絶対熾天使が何かをしているのだと断定した方がいいとテンは思う。思い返してみれば最初にリクが眠るようになったのは決まって食事の後だった。食事の中に何かを混入させて睡眠を促しているというのならリクが目覚めないのも頷ける。 だが、食事に混入しているのが分かったとしても配給されるのを待つしかないテンとリクにとって食事はそれだけしかない。一食分を二人で分け合ったところで当然足りるわけではないし、飢餓で死ぬことはなくとも空腹であることは単純にストレスだ。その上食事は監視の下でするから交換することもできない。「だけどこのまま黙ってリクを眠らせておくのはボクが耐え難い。」他の天使たちと関わることをやめて以来、テンとリクにはお互いしか共有する相手がいないのに、リクがほとんどを寝て過ごしてしまっていては実質一人でいるようなものだ。 常に触れれば熱を感じられるほどそばにいるのに、リクの目蓋は閉じられたまま。 寂しさでテンの方がおかしくなってしまいそうだった。「どうしたらリクは目を覚まして──」