ビジネスに関しても同様だというのに、セシルには甘い判断を下しそうになり危なかった。あのまま熱意に押されれば、交易が成立したら取引すると言ってしまうところだったと冷や汗が流れる。――――ダルトン嬢はやはり不思議なレディだ。何故こんなにも近付かれても不快ではない…………何故こんなにも興味を持ってしまう? 小瓶を握りしめやり取りを思い出すが、エリィと比べれば惹かれる要素は少ない。容姿はエリィの方が好みだし、仕事に真面目なところも負けていない。 では何故セシルを…………と、セドリックは受け取った小瓶を見つめ、揺れる馬車の中で考えた。――――まさかな ぎゅっと小瓶を握りしめ、気づいてしまった可能性に眉間にシワを寄せた。