夏目漱石は『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『三四郎』『こころ』などの作家として有名ですが、彼はその他に数々の短篇を残しています。「倫敦塔」「夢十夜」などは多少知られていますが、今回取り上げる『永日小品』は、知る人ぞ知る珠玉の短篇集です。『三四郎』と『それから』の間の時期に書かれたこの作品には、漱石の豊かな感性、英国留学時の様々な思い、日常生活の中に垣間見られる人間の姿、漱石独自の幻想の世界など、まるで漱石文学の秘密の玉手箱のような短い二十五の短篇が収められています。一つ一つの短篇を読み解き、漱石の意識と技法に迫り、他の小説との関連も探ってみたいと思います。
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