数日後、寮を訪れた天を迎えたのは、落ち込んだ陸の姿だった。 自分でも大丈夫だと思ってしまっていたからか、またパニックになりかけてしまったことが、余計にショックが大きかったのかもしれない。陸が塞ぎこんでいたから、なんとか元気付けたくて、天は陸を優しく抱き寄せた。「……陸、」 そっと愛しさが伝わるように、キスをしようとすると、腕の中の陸がびくっと怯えた。「ご、ごめん…てんに…」傷付いた顔の陸が、呆然と天を見つめていた。キスをされることが、怖かったのだろう。 とっさにあの男の姿が、よぎってしまったのかもしれない…陸自身が、怯えた自分のことを信じられないとでも言いたげに呆然としている。そして、泣きそうな顔で天を見た。陸はボクを傷付けたと思っただろうけど、陸を傷付けたのはボクだ。