雨はすっかり上がっており、真っ赤な夕焼け空が広がっていた。お昼までの大雨がまるで嘘のような、雲1つない晴天になっていた。「紗夜ちゃん。今日はありがとう。おかげですごく助かったわ」「お役に立てたのならよかったです。私もいつもと違う演奏をすることでいい刺激を得られました」「ふふ、お互いいい練習になったようね?」「ええ、明日からまたそれぞれ頑張りましょう。では私はこっちですので…また明日、学校で」「ええ、また明日ね、紗夜ちゃん」紗夜ちゃんと別れ、少し歩いたところでスマホを取り出す。チャットアプリでパスパレのグループを選び、メッセージを。『明日の全体練習、ゆらゆらをやりたいのだけど…いいかしら?』肯定の意のスタンプが4つ並ぶまでに、さほど時間がかからなかったのは言うまでもなかった。―fin.