「う……頭が、痛い……」新進気鋭のアイドルグループ、アルストロメリアに所属する桑山千雪は、ガンガンと鳴り響く頭痛の中で目を覚ました。少し遠くから差し込む日差し、そこはどうやらワンルームマンションである自分の家の廊下らしい。一体どうしてこんなところで目を覚ましたのかとも考えるが、それよりも何か熱くて柔らかいものが上にかかっているような感覚がする。「へ……?」そこには白い半袖のニットを着ている、栗色の髪を束ねた女性が居た。すやすやと寝息を立てている彼女を千雪は知っている。「えええええええええええええええっ!!!!?????」いや、目の前に居る彼女こそが桑山千雪その人であった。慌てて彼女を揺さぶって起こそうとすると、手が非常に小さい事に気が付く。すらりとしたモノではなく、子供らしいすこしふっくらした……まさか。「ん……うるさいなぁ……」擦りながら目を覚ました彼女はしばらくぼんやりしていたが、千雪の方を一瞥すると大きく目を見開いた。「へ、えええええええええっ!!!?な、なんでぼくがっ!?」バッと跳ね起きると、後ずさりをしながら壁にもたれかかる。膝丈ほどの長さのスカートを大きく開けて、タイツ越しにベージュのショーツが丸見えになっていた。千雪は一瞬だけそれを見てしまったが、彼女の反応から今自分のカラダがどうなっているのか察する。「っっっ!!!やっぱり、私、コウ君と入れ替わってる!?」ドタドタと身体つきの差からこけそうになるものの、洗面所に行けばそこには気弱そうな男の子が眉をハの字にして不安げな表情を見せていた。同じように彼女も追いかけてくると、驚愕しながら自分の顔をペタペタと触っている。「ど、どうして……!!!」「ぼ、ぼくが千雪お姉ちゃんに……!?も、もしかして……!」一体何故、その理由に少年……コウには心当たりがあった。