三月が天の足元を見て固まった。目を見開いている。天も不思議に思い三月と同じほうを見ると、なにかが落ちていた。「……手紙……?」よくあるレターセットの封筒。持ち上げると、手紙とは異質の重さを感じた。宛名はない。そのへんにあったハサミを持って封を開ける。中からは小さなメモとDVDが出てきた。 『出来れば、天にぃと一緒に観てください』 陸の字ではないが、明らかに意味のある言葉。「……観るか?」 「……もちろん。陸が遺してくれたものだ」天はデッキの電源を入れて、DVDをセットした。ぷつん、と音を立てて再生されガタガタと画面が揺れる。『よいしょ……撮れてるかな?』にーっ、と笑う陸が、そこにはいた。……ここは、病室だろうか?