「何度見ても、皮肉なほどに綺麗だな。」天に昇っていく魂を見る度にガクは思う。死というものを経て得られる美しさがいいものであるはずがないと分かっていても溢さずにはいられなかった。そしてそう思わせるこの二人の歌唱力もさながら。「叶うならオレたちが送らずにすむ世界に」 「叶うならボクたちが見守れる世界に」そう締めくくった二人は互いの手を結んで額をくっつけあってから瞳を合わせる。テンは右の目にアルトの紋が浮かび、リクは左の目にダブルシャープの紋が浮かぶ。こうすることによってテンが失っていた力をリクが分け与え、互いに補い合う。そうしてバランスをとっているのだ。「お疲れさん。」 「ガクさんもお疲れ様です!今日はちょっと大変でしたね。」 「テンが余計なことしなきゃもうちょい早く終わった。」 「ボクのせいにしないでよ。」 「まぁまぁ。」睨み合うガクとテンにリクが間に入ってもうすぐ町の人たちが来るから早く移動しましょうと促す。まだ遠いが、複数人の声や足音がリクたちのいる教会に向かっているのが聞こえてきたのだ。二人は渋々ではあるが反論することなく指示に従う。「その前に戻るよリク。」 「あ、うん!」