自分だけ呪いを解かれてしまっては意味がないのだ。イオリが呪われてしまった原因はテンとリクにある以上は見捨てることなんてできない。「何故にあの人の子に拘る。どのみち早くに消えていく命を少し延ばしたところで変わりはせぬぞ。」 「オレたちのことを友達だって言ってくれたんです。」 「天使であるボクたちを天使であると踏まえた上で友達だと。」そう言ってくれる存在はテンとリクにはいない。誰しもがテンとリクを愛していても、見えない線引きがいつもされている。特別視されているが、結局はそばにいるのはお互いだけでイオリのように親しくしてくれた者はいなかった。だからこそ余計に、イオリを失いたくはなかったのだ。「・・・・・・ならば条件を満たした暁には愛し子たちの望みを叶えよう。」人の世に蔓延る悪魔の掃討することが条件だ、とほぼ無理に近い難題を出され、テンとリクは言葉を失くす。「これは禁忌を犯したお前たちの罰でもある。黙認していた私も悪いゆえ堕天の宣告はせぬが、半堕天をしていてもなお天界に足を踏み入れられるのは私が容認しているからに過ぎぬ。罪を償い、人の世を浄化する使命を遂げたのであれば、お前たちの気に入りの人の子の呪いを解こう。」やるかやらないかのどちらかだと選択肢を二択に絞られてしまえばテンとリクに残された選択肢は一つしかない。「やります。」 「必ずやり遂げてみせます。」 「いいだろう。期限は人の子の呪いが発動する前日まで。それまでに満たしていなければ、潔く諦めるのだぞ。」