「一織くん、皺が寄ってる。……考えすぎも、よくないよ」 ふっと微笑んで壮五が言う。いつの間に眉間に皺なんて。こほん、とひとつ咳払いをして気持ちを落ち着かせた。 「……すみません」 「ううん、一織くんの気持ちもわかるから。……九条さん、元気そうなのにね」 「……はい」 服で隠されている大きなふたつの傷を目の当たりにしなければ、本当に元気な天そのものなのだ。いつもの、プロ意識の高い天。 「イチ、あちらさんのことばっか構ってらんないぞ。俺たちだってやらなきゃならないことはたくさんある。まずはセットリスト」 「……そうですね」 「なあなあ、俺さ、おもしろいこと考えた」 「え?」 全員が環を見る。おもしろいこと、と言うわりに顔はいつもの環だ。わくわくしている様子でもない。 「いおりんに、かかってるんだけど」 「私ですか?」 「うん。……あのね、」 環を中心に六人がこそこそと話しているところに、静かにRe:valeがレッスン場へ戻ってきた。 「お、いいね。みんな楽しそうだ」 「あはは。俺たちはセトリ組めたし、あとは確認だけだね」 「おもしろい企画でも考えようか」 「いいね!……実はひとつ、考えがあるんだ」