庭へと移動すると、残りのメンバーがゲラゲラ笑いながらもちとの格闘を繰り広げていた。 「Oh!これがジャパニーズもちつき!楽しいです!」 「ナギっちあぶねえ!俺が殺される!」 「真面目にやって下さい!」 すでに酒が入った大和はひたすら大笑いしており、つられて陸と壮五も笑った。そして、ふと天と目が合い途端にこちらへ駆け出した。 「天にぃ!」 「わっ!……陸、危ないよ」 「八乙女さんも、十さんも!ありがとうございます」 天に抱きついたまま陸が言うと、楽も龍之介も陸の頭を撫でた。小動物みたいだ。 「七瀬はもうやったのか?」 「ううん、まだです。まずはナギが満足してからと思って」 「そうだよね、ナギくんの故郷にはない文化だもんね」 結構な重さがある杵を高くまで振り上げて臼に落とすと、ドンッと大きな音がした。また振り上げたところを、素早く一織と環が返してナギの次の一打を待った。すでにもちは程よい粘り気で臼のなかにいてそろそろ第一便が食べられそうだ。 「ナギっち、とりあえず一旦ストップ!これ、出すから」 おや、と天は思った。こういうのにやる気がなさそうな彼──環が、意外と手際良く一連の作業に参加していた。 天の心を読んだのか、陸が言った。 「環ね、前まで暮らしてた施設で毎年やってたんだって。俺たちよりもすごい上手なんだよ」