『ノル君、もし強敵にあったらLPを使うことを惜しんじゃいけないからね~』「人生は死んだら終わり、ですもんね」『そゆこと!』 明るい語調の師匠に僕は親指を立てつつ、アドバイスに対するお礼の言葉を述べる。 そろそろ出発しようとすると、珍しく師匠が慌てた様子で止めてきた。『そろそろ、気をつけなきゃダメだよ。話聞いてると難易度が上がってきたみたいだし』「珍しいですね、師匠が僕を本気で心配してくれるなんて」『ナニソレー、オリヴィアは、イツモ心配シテタノニ』「心がこもってないですよ。でも、気をつけます」 僕はチキン。安全第一。知っているでしょう、と師匠に言って安心させてから【迷宮階層移動】で十一層へ移動する。 入り口に移動すると、ムワッとした熱気が僕の全身を包む。 ……やっぱり暑いな。 でも、スキルのおかげかやはり、以前よりだいぶマシだ。【熱耐性A】は、外部の熱気に強くなるわけだけど、そういった状況におかれたときに過剰に汗が出ることと、体温が上がりすぎることを防いでくれる。 脱水症になりにくくなるので、こういった場所でも活動時間が増えるわけだね。 十一層の中はかなり広いんだけど、大きい岩が多くて見通しは悪い。歩ける足元は灰色っぽくデコボコしていて歩きにくい。 さらにこの層には、燃えたぎるマグマがあったりするから困る。 さて、まずはこの間のあいつに注意しないとな。 レベル250超えのおっかない魔物に