空が、大地が、人が、街が、大きく震えた。叫喚きょうかんに込められた迫力と憎悪に身体と心が激しくきしんだ。 そして、今のが何だったのかを考えるよりも早く、次が来た。『クオオオオオオオオオオォォォオオオオオオオオオオ!!』「ぐぅぅぅッ!?」「ぬぉぉッ!?」 俺とゴズの口から同時に苦悶の声が漏れた。 心臓が激しく脈打っている。湧き出る汗が止まらない。 いったい何事だ。 獣の咆哮? だが、ただの獣の声にここまで心をかき乱されるはずがない。 イシュカの各所から沸き起こる悲鳴や絶叫が事の大きさを物語っている。これはもう大規模魔術の領域――そこまで考えたとき、さらに次が来た。『ギィィィィイイイイイイィィィィイイイイイイイイイイイイ!!』「くそ、なんなんだッ!?」 俺はたまらずゴズから離れた。こんな状況では戦いも何もあったものではない。 これはゴズも同感だったようで、両手を縛めていた拘束はすぐにほどけた。 俺は困惑に顔を歪める。何とかしようにも、これが何の咆哮なのか、どこから聞こえてくるのかもわからない。手のうちようがないのだ。 と、そのときだった。