「牽制は大事だよ。いい子みたいだけど念のために・・ね・・・。」涼やかな顔の天にぃとは裏腹に離された手にフーフーする遙の姿。「陸、、、お前の兄貴見た目みよらず凶ぶぉ・・!!」火に油を注ぐのはやめようねと慌てて遙の口をふさいで収集をはかる。「遙ごめん、俺まだ天にぃと話があるから今日は・・・。」ふごふご言ってた遙が僕の手を剥してぜぇぜぇと息を整えてから 改めて天にぃの方を向いた。「兄弟そろって容赦ないな。ったく。夜勤組の件だけど。あれやったのってあんただよな?」そこを指摘してくるとは思ってなかったみたいで今度は天にぃが目を丸くしていた。「へぇ。だったらどうするの?」少し挑発的な返答だったけど遙はその返事を聞いて なんと勢いよく90度頭を下げた。「感謝してる。本当あいつらどうしようもなくて俺達じゃどうにもできなくて諦めてた。でもこうして奴らのいない日々を迎えてみると今までの自分たちが恥ずかしい。怯えてた自分が恥ずかしい。本当にありがとう。」そして遙は言いたいことを言ってすっきりしたのか またな!!と言って颯爽と病室を後にしていった。なんとも言えない沈黙の中、天にぃがポツリとつぶやいた。「いいルームメイトだね。なんだか楽と龍を足して2で割った感じかも。 まぁいいや。明日の検査の結果次第で退院できるかもって さっき看護士さんから話聞いたから今日はもう早く寝たほうがいい。」「うん、そうだね俺も早く退院したい・・・。」それは俺の本心でもっと話していたいのはやまやまだったけど渋々天にぃの提案を受け入れた。「また明日きてくれる?」「うん。明日は一日オフだからもっとゆっくり話せると思う。 検査は何時に終わるんだっけ?」「確か午前中には終わるはずって言ってたよ。」「じゃあ昼過ぎくらいに来るよ。またね、陸。お休み。」「うん、天にぃお休みなさい!」病室を後にする後姿を見送って、俺はベッドにもぐりこんだ。今日も本当色々なことがあったけど、なんだかもう胸の中は嬉しい気持ちでいっぱいだった。九条がまたくるかもしれないけどあんな言葉に負けたりしない。もう大丈夫。そうして穏やかな眠りについた俺はその日天にぃが俺と会った後、密かに決意を秘めて病室を後にしていたことなど知る由もなかった。