と意外なことを言ってきた。 しかし、必ずしも冗談、と言い切れないと感じる。 というのは、リリアンの身に宿る聖気がそう言った瞬間、少し外に漏れ出したのだが、これがかなり洗練された、大きなものだったからだ。 俺もロレーヌも聖気を持っているわけだが、俺たちのそれとは比べものにならない力をリリアンは持っているらしい。 さすがは王都のエルザが将来を嘱望されていた、と言うだけの人であると言うことだろう。 もちろん、聖気の量だけで戦闘能力が決まるわけでも無いが、こと不死者アンデッドに対しては効果覿面な力である。 また治癒や浄化など、色々な面で役に立つ能力であるので、戦力になるというのは間違いないだろう。「あぁ、そうそう。他にも、お二人と王都散策をして楽しかったとも書いてありました。なんだかご迷惑をおかけしたようで……幼なじみとして、申し訳なく……」 リリアンが困ったような表情でそう言った。 エルザが寺院を抜け出したときのことも書いてあったらしい。「いえ、私たちも楽しかったですし、実際に助けられたので……こちら、そのときに購入したお土産になります。どうぞお納めください」 ロレーヌがそう言って、王都で買った土産を手渡す。 日持ちする菓子類と、紅茶だな。 もちろん、前者は孤児院の子供たちのためである。 紅茶の方はエルザからの情報でリリアンが好むという銘柄を買ってきた。「まぁ、よろしいのでしょうか? 私は依頼をお頼みした立場ですのに……」 リリアンが恐縮しているが、ロレーヌが言う。「リリアン殿にも、この孤児院にも、私たちはお世話になっていますからね。ですから、これは依頼主への土産ではなく、お世話になったご近所の方へのお土産というわけです」 本気で言っているのだろう。 実際、俺たちとこの孤児院は色々と縁が深い。 これから先も関わることはあるだろうし、そう言う意味でも仲良くしておいた方がいいだろう。 恐縮していたリリアンも最終的には納得し、お土産を受け取ってくれたのだった。 後に聞いた話によると、渡したお菓子類は即座になくなったという。 子供たちの食欲は魔獣のごとし、というわけだ。