「私の父は、化学物質に過敏な方で、和歌山に1社だけ残っていた、天然の除虫菊で作っている会社の蚊取り線香を愛用していたのですが、そこが廃業するという噂を聞いて、直談判に行ったら、そちらで事業を引き受けてくれという話になり、検討を開始しました。除虫菊の歴史や天然ピレトリンと合成ピレスロイドとの違いなどを調べて行くうちに、戦後、日本の農業や産業がアメリカの大規模農業や石油化学産業に駆逐されてきた歴史は、そのまま除虫菊にも当てはまり、合成されたピレスロイドがどんどん輸入されて、知らないうちに生活に浸透し、アレルギー反応を起こす過敏な人がいても、選択の余地が失くなっていることがわかりました。父は自然食品の事業を興して、添加物や環境汚染、公害問題と向き合ってきた歴史もありましたから、この商品は現代社会への具体的なアンチテーゼのアイテムになるだろう、と自社で取り組むことにしました。それで、その会社と製造契約を結んで、原材料の配合比率を決める実験を繰り返して、原料調達から新たに自社で開発したのです。」