それからもなんやかんやと理由をつけては天を避ける日々が続いていた。少しずつお腹も目立ち初めてきたので、目立たないように少し大きめのワンピースを着ることが多くなった。普通のものだと入らなくなってきたというのもある。ご飯も食べれるには食べれるし匂いもそんなに問題はないのだが、量は少し減っているし、油っこい匂いを長時間嗅いでいたり、近くで匂うとさすがに吐き気を感じるようになっていた。恐らくこれがつわりというやつなのだろう。「七瀬さん、少し太りました?」 「えっ?」だいぶゆるいワンピースで体型もそんなに目立って無いはずなのに。鋭い一織の一言に一瞬ヒヤリとしたものが走る。「そ、そう?そうえば最近食べ過ぎてたかも…?」 「そうでしたか?むしろあまり食べてないように思いましたが」 「え、あ、はは…変な時間に食べちゃってて…それでね!ごめん気をつけるよ」なおも怪しむ一織の視線を感じながらもさっさとその場を退散する。ケータイを見れば天にぃから連絡が来ており、今日も会えない旨のラビチャを送る。救いなのはTRIGGERが近々ライブを控えているためその準備で忙しいから前ほど頻繁に連絡を取り合えないことだ。前はそれを寂しく感じていたけれど今となってはそれがありがたく感じている。天本人に直接会ってしまえば誤魔化しきれないことを陸はよくわかっている。 しかしいつでも逃げ回っていられるはずもないわけで「な、なん、な、で」どうして今目の前に天にぃがいるのだろう。