「やります。」 「必ずやり遂げてみせます。」 「いいだろう。期限は人の子の呪いが発動する前日まで。それまでに満たしていなければ、潔く諦めるのだぞ。」全能神の恩恵に感謝を、と揃って片足を立ててもう片足は膝をつきながら頭を深々と下げて御礼を述べる。本来なら禁忌を犯した者は問答無用で堕天することが決まりである中、特例措置を受けているのはテンとリクが全能神に愛されているが故だ。それに驕るわけではないが、感謝をしながら与えられたチャンスを無駄にしないためにもテンとリクは、初めて天界から長期の間離れることになった。 いつも人間界に降りる時に使っていた転移陣は、前回のバグを最後に使えなくなってしまっていた。仕方がないので空から降りることにしたが、相変わらず飛べないテンとリクは再び落下をしていくだけで、魔法で速度を落としてはいるものの、初めて人間界に落ちてきた時と同じ状況にこれでまた誰かの上に落ちたらきっとそういう運命だったのだと、その人間に悪魔討伐の協力をしてもらおうと決める。──そして、運命の歯車は回り始める。「いって・・・なんなんだ急に・・・」 「あうぅ・・・」 「リクだいじょ・・・・・・え?」テンとリクが落ちたのは一人で悪魔を討伐し続けるソロのエクソシストの男の上で、何よりも驚いたのは自身の姿にだった。何故か青年の姿ではなく、幼い子供のような姿になっていることにどういうことなのだと困惑する。「な、なんでこんなすがたに・・・」 「あれ?リクちっちゃくなってる?あ!テンにぃもだ!」 「はねもなくなってる・・・これはどういう・・・」 『それは私からの最後の手助けだ。人の世に紛れやすいように人の子を模倣できるようにしてやった。その姿でいると魔力も消費しないようにもしておいてある。』どこからともなく聞こえる全能神の声に、お節介だなと思いつつも人に紛れやすくなったのはありがたく思う。子供の姿なのは警戒心を薄くさせるためで、相手を油断させやすいようにするためでもあるという。結局なんだかんだ至れり尽くせりなのだから自分たちは相当甘やかされているのだなと改めて感じる。「オイ、人の上に勝手に落ちてきておいて何も言わねえのか。」 「ねぇにんげん、キミはあくまをころすにんげんだよね?」 「おねがい、リクたちをたすけて!」 「はぁ?何で知って・・・って助けろ?」なんて幸運なのか。エクソシストの上に落ちたなんて。「ボクたちがかごをあげるかわりに、キミはこのせかいにいるすべてのあくまをころして。」 「そしてリクたちのねがいをかなえさせて。」──さぁ契約を交わそう。