朝食を食べ終わり隼人の用意した馬車に乗って闘技場を目指す道中。馬車に慌てて走ってきたのは、朝食を食べた後もまたすぐに部屋に篭ってしまったウェンディとシロであった。「それで、なにしてたんだ?」「虫退治……」「どれだけ沸いたんだよ……」「ウェンディがお菓子を食べこぼすから……」「シロ!? そんな裏切りは流石に怒りますよ!?」「嘘。シロが窓を開けっ放しにしたら入ってきた」「あー……内緒なのか?」「違うけど……違くない……」シロがしょぼんとしてしまう。ウェンディもどこかあわあわとしているのだが、まあでも秘密をわざわざ問いただすのも悪いな。「いいよ。女の子は少しくらい秘密がある方が魅力的って言うしな」「ん……後でちゃんと言う」「それでいいよ。ごめんな。意地悪言って」頭を撫でると、シロは目を細めて手に頭を擦りつける様に押し付けてくる。それにさっきから後ろ手にしている袋が多分秘密のそれなのだろう。何をたくらんでるのか知らないが、ウェンディも協力しているのだし問題はないな。あの中に大量の虫がいるとかでないならだが……。「主、それよりもお弁当沢山?」「おーう沢山作ったぞー」「ん、シロ今日は沢山食べるから嬉しい」「そうかそうか。んー……となると足りるかな……」八段のお重とはいえ少し物足りないかもしれないな……。「臨時で屋台も出ているみたいですし、足りなかったら買いに行きますか?」「そうだな。足りなかったらそうしようか」屋台ってなんかテンション上がるんだよな。美味しい、美味しくないに限らず祭りやイベントの時にしか見受けなかったからだろうか。それにこっちの世界の屋台はそれぞれが個性的に工夫を凝らしているし、知らない魔物の肉を食べることもできて面白いしな。……ちょっと出してみたいとか思ってみたりもしている。まあ、これは機会があればだな。「んんー! それにしてもいい天気ね!」「だな。へえ、ソルテの今日の格好は可愛いな。この前買ったやつか?」「な……いきなり褒めないでよ……」白地のミニスカートか……うん。ふとももが映えてていいね!更に対面だから少し動くたびに気になってしまうのは、男の子として当然だと思う。「ご主人! 自分のはどうっすか!?」「んーどれどれ……」レンゲの格好は普段どおり……だが、これどうなってるんだ?肩にかかっているわけでもないのに何故ずり落ちない……。ぷるんってならないのか?そして白色のショートパンツ……。「レンゲも素晴らしいね!」「おー褒められたっすー!」「っく……。私も買ったばかりの服を着て来れば良かったか……いやだが、あれで外に出るのは少し恥ずかしいし……」「確かに、あの姿を外でするのはな……、いやでもその服もアイナに似合ってて綺麗だぞ」「そ、そうか。ふふ、なんだろう。改めて言われると恥ずかしいけど嬉しいな」