『……英霊や神が直接降臨する可能性もあったのでは?』 そう主張するのはヴィダ達の新たなる兄弟……元魔王軍で現ヴィダ派の『迷宮の邪神』グファドガーンだ。他の神々が本来の姿のまま集まっているのに対して、彼女は寄り代に宿ったまま神域に存在していた。『その可能性は無いわね』 しかしヴィダは彼女の意見に首を横に振った。『ヴァンダルーを狙ってモークシーの町に英霊や神を降臨させても、あなたがヴァンダルー達を連れて境界山脈内部に【転移】で逃げたら、骨折り損だもの』 地上に降臨する際に消耗するエネルギーの量を考えれば、骨を折るどころか瀕死の重傷損である。ヴァンダルーの近くにグファドガーンがいると知っているなら、とても実行できない。『それに、ヴァンダルーがアルダ達の神域に攻め込んだならともかく、アルダ達神々が地上に降臨して直接戦う事はまず無いだろう。 我らの兄にして弟たるアルダは、ヴァンダルーを世界の為と称して倒そうとしている。だが、ヴァンダルーを倒す為に世界を滅ぼす危険を冒す事は無いだろう』