陸は出会った頃、まさしく機械のサイボーグであった。ゴミ捨て場にうち捨てられ、ひどく汚れていた。瞳には僕を映さず光も宿さず、喋ることはおろか、動くこともままならなかった。 そんなサイボーグを僕は拾い、育てることにした。『陸』という名前を与え、僕が持てる限りの愛情をすべて注いだ。 そんな僕の様子を見て九条家の者は、「その汚れたものを早く捨ててこい」と言った。だが、僕は頑なに陸を離さなかった。僕は自分の行くところに必ず陸を連れていき、食事も一緒に、寝るときですら同じベットで陸を抱いて眠った。そんな僕を見て、半分諦めで九条家の者は陸の存在を認めた。 ただ、九条の者として認めることはできず、陸には新たな姓、『七瀬』が与えられた。