午後。 なんとか早く仕事を終えた天と学校終わりの一織、環の三人が陸を連れて近くの公園へと散歩に来ていた。手を繋いだまま、陸はうずうずしたように天の前に駆け出そうとする。「陸、ほら走っちゃだめだよ」 「てんに、ブランコ!」 「いいよ、一緒にいこ」陸が高い声で笑いながらブランコに揺られているのを見て、一織と環は目を合わせて笑っていた。 子供の頃は体調が悪くて、砂場もある公園などにはほとんど行けなかったと以前に陸が言っていたのを覚えていたからだ。 陸の背をやさしく押してやっている天も、すごく嬉しそうにしている。「じゅんばんこだよ!つぎてんにぃのばんだよ!」 「りくだけ乗ってていいよ?」 「ん…天にぃも…」 「あー、やりたいな。ありがとう、陸」 陸がじっと見つめれば、天も断ることができずにブランコに腰かける。陸はにこにこして天の真似をして背中を押してやろうとするがうまくいかない。みかねて一織が危なくないように陸と一緒に天の背中をゆっくり押してやる。 環はにやにやしながら動画を撮っていた。「いっしょにやるとたのしーね!」 「うん…そうだね、陸」 にっこりしながら、陸はふいにうしろの草むらに冒険しに行ってしまった。