「お前の言う通り、リクは九条天の妹だ。週刊誌の記事のネタにされてから、やたらと記者につきまとわれたり、最近だとストーカーされてる疑惑があって、保護のためにウチにいるんだ」 「そう…なのか…」 複雑な表情で見やる蕎麦屋に対し、リアクションに困るリク。 「さっきは、急に顔掴んだりして…悪かった。痛くなかったか?」 「痛くはなかったです。ちょっと怖かったですけど…」 「声低いしでかいし顔も悪人ヅラだからなー」 「何だと!」 大きな声にリクがビクッとする。 「ほらほらまた怖がらせてるから」 「そんなに俺…怖いか…」 大和がニヤニヤと小馬鹿にするのを楽しむ一方で、割と本当にショックを受けている蕎麦屋。その様子を見て、リクの口元が綻ぶ。 「あはは。おふたり、本当に仲良しなんですね」 笑顔になったリクに、蕎麦屋は少しホッとする。 「仲良しじゃなくて、ただの腐れ縁だっつの」 優しい声で笑いながら返した。